ドライブ
目的がないまま旅をしているような気はしていなかった。
真っ直ぐと舗装された道路を、綺麗に整備してもらった新車で走っていた。この車は最新式で燃費もよく安全性も抜群らしい。
だから、何も気にせずにただアクセルを踏んでいた。
なぜこの道をひた走っているのか、疑うこともないままに、周りが走れと命じるままに。
道中ではずっと分岐点が存在していた。人々は少しずつ、僕らの走る道路から別の目的地へ続く方向へと進んで行った。彼らはハンドルを握って行き先を選択していた。
それでも大多数は僕と同じ道を走っていた。だから不安ではなかった。なにせこの道が1番しっかりと舗装されていているのだ。心配はない。そう思っていた。
しかし、最初は綺麗に敷かれていた路面もどんどんと雑に荒くなっていった。24年目へと差しかかるこの車の塗装は禿げ落ち、中古車で買い取ってもらえるかどうかという乗り物だ。際限なく積んでいたはずのガソリンの残量も、残りわずかのように感じてきた。
そういえば、僕らの集団はずっと小粒になっていた。初めは100人もいたのに80人に、80人が50人にと減っていき、今や僕の周りには数人しかいない。
ここでようやく気になった。
この道はどこに続いていくのだろう。たくさんいた人々はどこに向かったのだろう。
何も分からないまま今もアクセルを踏んでいる。
どこに着くのかと脅えながら。