やさぐれ日記

とりとめのない話をしています。

高速道路のバス車内

高速道路のバスの窓から下の路地を眺める。必死に自転車を漕ぐ子ども、コンビニから出てくる老人、歩き煙草をする金髪。そこには社会が形成されている。私は彼らよりずっと速くバスで彼らの頭上を駆け抜けていく。社会を吹き飛ばす感覚になり、少しいい気分だ。

 

私は下に広がる社会をぐんぐんと超えていく。しかし、私と同じ社会の中で、私が乗っているバスは遅い方だ。他の車が次々とバスを抜かしていく。置いていかれている気持ちになる、しかし私にアクセルを踏む権利はない。

 

きっと私の遥か上空では、航空機が地上を見下ろしながら、感慨もなく物凄い速さで私を追い抜いていってるだろう。私の数十m先を行く時速100kmは出ているであろうあの軽トラックも私と同様に置いてけぼりにされる。航空機からすれば、高速道路上や路地などといった目に見える景色が全て地上の社会だ。そこに高速道路や路地といった区別はない。

ただ、今日は曇り空で、航空機は見当たらず、灰色に包まれて安堵する。あと目的地までどれくらいなんだろう。バスに揺られる。