怪文書
7月15日
バイト帰りにラブソングを破壊した.ラブソングはガラスのようなものだと思っていたけれど,決してそんなことはなく,外はサクサク,中は空洞でアブラゼミを,握りつぶしたような感覚に近かった.それがとても気持ち悪かった.
くだらない存在のくせに,私を不快にさせるラブソングが耐え難かった.愛なんて二度と歌わないでほしい.
7月18日
塾から帰ると,家にラブソングがいた.朝,学校に行くときにはきちんと扉に鍵をかけたはずなのに.ラブソングは星野源の恋を歌っていた.居座るは悪だぞ恥知らず.そう言ってやるとラブソングは泣きながら消滅した.二度と私の家に来ないでほしい.
7月19日
何も聞こえないので寝る.明日もいい日になるといいな.
7月27日
夢がなくなった.
8月11日
後悔が募る,私の生に意味はない.それは,あなたの生に意味がないのと同じことだ.
8月21日
眠れない.朝が来ない.眠れない.