やさぐれ日記

とりとめのない話をしています。

ありふれた非日常に憧れて

私、アザミンはどこにでもいる普通の男子大学生!

友達もたくさんいて、優しく頼りがいのある仲間たちと一緒にそれなりに楽しい日々を過ごしています!でも、私にも一つ悩みがあって…実は私、世界を脅かす悪の組織ワルイーゾと戦う魔法使いなんだ…!!!

 

などという冒頭から始まる日常は創作の中でのみ存在する。

現実で我々は楽しい仲間たちと共に生活を送るわけではなく、実際は苦手な性格をしている相手とも楽しいふりをすることを強いられたり、異世界を救うために超能力が与えられたりするのが悩みではなくて、恋人ができないことであったり、お金が足りないこと、朝が起きられないことなど非常に平凡な悩みしか持ち合わせてはいない。

もし、ありふれた日常生活を送っている私の日常を記すなら実際の冒頭はこうだ。

 

僕、アザミンはどこにでもいる工学部の男子大学生。

友達は数人、ネットサーフィンやニコニコ動画の巡回、バイト、ゲーセンに通っていたら終わってしまうどこをとっても同じ出来事の日々を過ごしています!でも、僕にも一つ悩みがあって…実は僕、今まで彼女ができたことがなくてあと数年したら魔法使いに変身してしまう童貞なんだ…!!!

 

なんて物語性のなさそうな始まりだ、さらにこの主人公の物語には女キャラはモブでしか出てこない。悩みを特に解決しようともせずに一週間飯食って寝るだけのような生活を送りやがる。もう駄目だ。こんなつまらないものはボツを食らうにきまっている。

 

つまり、我々の憧れているごくありふれた生活というのは普通の人々の理想上の架空の存在なのだろう。パンを咥えて走ってくる転校生もいなければ、突然ふろ場に現れるエッチな異星人もいないし、交通事故にあってから霊界探偵に抜擢されるヤンキーなんてのもいないのだ。みんなありふれた日々を過ごしながらありふれた非日常を夢想する。そんなもんなんだろう。

ただ、非日常もごく稀に存在するはずだ、ならば、私も普通の人間らしく非日常を妄想しようではないか。

ああ神様、明日風呂場にエッチな異星人が現れますように…どうか、よろしくお願いします…